新規事業支援のご相談を受ける時、新規事業部の担当部長と決裁権のある経営層もしくは取締役が同席しないご相談は受けない様にしています。限られた時間で成果を最大化するために、初回のご相談は必ず意思決定ラインの方にもご同席いただいています。新規事業は担当者の熱意、つまりボトムアップだけでは前に進みにくく、初回から決裁権のある経営層と一緒に議論できる場をお願いしています。
新規事業のスタート時から失敗する典型パターン
❶「箱モノ発想」
経営陣が「新規事業部」という看板だけ用意して、スキルも経験もない人材や、浮遊社員を集めて「やっとけ」って丸投げする。結果、事業創出どころか、他部署からは無能な金食い虫と非難され、部署の自己効力感が低下し腐敗していく。
❷経営戦略におけるプライオリティの低さ
本来、新規事業は10年先の新たな収入源を作るという経営上の最大の目的のはずです。ところが、本業の延長(片手間)や短期的売り上げ重視で守りの事業に力を入れてる中で、「新規事業はおまけ」的な中途半端な状況にある場合、現場がいくら頑張っても予算と時間の浪費にしかならない。
❸バズワード的ムーブ
DX、AI、サステナとか「流行だからやる」「なんとなくやらなきゃいけない」だけで、根本的な課題やパーパス、ビジョンに紐づいてない。要は“やってる感”の消費でしかなくなる。
「経営の覚悟」「現場の意思」が見えない現場に時間を割くのは自分にとっても機会損失に近く、
逆に双方が本気であれば、たとえスキルや経験がゼロでも「学びながら自律的に成長する新規事業カルチャー」がつくれます。そのため、最初に経営陣の姿勢を見極めるフィルターを入れる様にしています。
なぜ同席条件を設けるのか
❶決裁ラインの不在=机上の空論化リスク
新規事業のご相談で現場の担当者や課長レベルだけで話が進む場合、「検討止まり」で終わることが多い。決裁権のある経営層がいないと、せっかくの議論が実行に移らないまま時間とエネルギーを消費するだけに終わる場合が多い。
❷リソース配分の最適化
新規事業の伴走支援は基本的に私1人で対応しています。現在、数社の伴走支援を行い、ギリギリのリソースで運営しています。そこに「温度感の低い相談」を加える余裕はありません。
❸コミットメントの可視化
部長+経営層が同席している時点で「この会社は本気で新規事業をやろうとしてる」という証明になる。逆にそこがないと、相談が単なる情報収集や研修ネタで終わる可能性が高い。
経営層の理解と意識が低くボトムアップから対応する場合もあります。その場合、約3年かけて現場からカルチャーの醸成を行い、同時に役員研修も行なって、ボトムアップとトップダウンの双方からアプローチして新規事業の前に企業カルチャーのリノベーションを行う場合もあります。JVCケンウッドや伊藤忠丸紅住商テクノスチールがこのケースに当たります。長期戦になるため、短期的な成果を求める場合は大手コンサルに依頼する方が近道でしょう。コンサルは数字やKPIの“見える化”に強いため、「やってる感」「レポート」で経営層を納得させやすい。いずれにしても挑む覚悟のない担当者や経営者に新規事業の伴走支援は単なる時間とコストの浪費に過ぎないので、双方にとって無駄な時間になります。私が伴走するのは、文化や人才から変えていく覚悟を持った企業だけです。